手紙

こんにちは。お元気にされていますか。
今日はこの街にやってきて、はじめての日曜日です。
わたしは地下鉄に乗って、天神にやってきました。地下街でクッションカバーと絵の具を買ってから、(友達もいないし、ひとりで絵を書こうと思っています)街で一番大きな本屋さんに行き、あなたがすすめてくれた本を買い、近くのカフェに入りました。
知らない街を歩きながらあなたと歩いた東京の街を思い出していました。
つい最近まで日曜日はあなたに会える特別な日で、前の日から嬉しくて、何を着よう、どんなお化粧をしようとわくわくしていたのがとても懐かしいです。
しかし、知らない街を歩くのも悪い気持ちではありません。いや、なかなか良いものだと思います。
何度も地図を確認しながら眺める新しい景色の中で、自分が何者でもないような、不思議な気持ちになります。
知らない街をひとりで歩くのがなんとなく楽しいのは、きっとあなたのことを思いながら歩くからなのでしょう。
夏の終わりの穏やかな午後をあなたはどんなふうに過ごしているのでしょうか。東京のすみっこの、あの喫茶店で、ひたすらノートに向き合っているあなたの姿が目に浮かぶようです。
外に出るとぽつりぽつりと雨が降り出していました。
きっとそのうち、こんな旅行気分も少しづつうすれていき、ここが私の日常になり、生きる場所になっていくのだと思います。
もうすぐ秋がやってきますね。お祭りのような夏が終わり、人々が落ち着きを取り戻して一年の終わりとその先の始まりを思う、秋はあなたにとてもよく似合うような気がします。
秋の終わりにお目にかかれるのを楽しみにしています。
またお手紙書きます。